調査委員会「CT社と張在亨氏の関係性を認め、かつて張氏を再臨主とする組織的教理が行なわれた可能性」を具体的に言及。教団はCT社と距離を置き動向を注視する見解を発表

ウェスレアン・ホーリネス教団(川崎豊委員長=野田キリストめぐみ教会牧師)は、新型コロナ感染拡大を懸念して3月開催を延期した教団臨時総会を3日開催した。今回は初の試みとして議決権をもつ教団傘下の諸教会がZOOMを通じて参加した。

昨年3月の教団年会で株式会社クリスチャントゥデイ(CT)社に対する委員会案が報告され、その疑惑の真偽を調査する目的で調査委員会の設立が決定された。その後、同年5月には山田証一氏(同教団八潮キリスト教会牧師)を委員長とするCT特別調査委員会が設置され、本格的な独自調査が開始された。この間、調査委員会は公平性を保つため、一切情報を漏らすことなく徹底した情報管理のもとで進めてきたという。発足から1年以上かけ、今回の年会で最終報告書が正議員に開示された。その上で、教団全体委員会で承認した見解案について今回の臨時総会で教団諸教会に対し賛否を求めた。

ZOOMを通じた投票では、圧倒的多数(一部の淀橋教会勢を除くほぼ全員)の正議員が見解案に賛成票を投じ、承認、同日「可決」された。尚、CT問題の当事者でもあり、長年同社の代表取締役会長を務めてきた淀橋教会主管牧師、峯野龍弘氏(2019年11月30日付けでCT社会長を退任)の動向が注目されたが調査委員会によれば事前に各教会宛に配布した「最終報告書」を峯野氏も確認した上で特に異論を唱えず、CTに示された教団見解を重く受け止める立場を表明したことが告げられた。当日、峯野氏は出席しなかった。

圧倒的多数の賛成票により可決された教団によるクリスチャントゥデイに関する公式見解。「距離を置き、注視していく」とした。(ウェスレアン・ホーリネス教団提供)

 

調査委員会は完全独立型の内部調査に徹し、1年以上かけて膨大な資料と証拠につながる情報を精査してきた。また元信者複数に対する入念な聞き取りも行なわれ、会長だった峯野氏、疑惑の渦中にある矢田喬大氏(社長)、内田周作氏(副編集長)、井出北斗氏(編集長)らへの聞き取りも同時に行なわれた。この間、調査委員会は教団内部に進捗情報を一切報告せず、諸教会、メディアにも進行状況について固く情報を閉じていた。

同教団関係者によると、採決に入る前の段階で中村和司氏(淀橋教会副牧師)を含む数名から教団見解案について一部修正を求める意見書が提出されたという。また淀橋教会サイドから「CT社の調査であるはずが、なぜ張(ジャン)関連団体と一括りに判断したのか」「距離を置くという表現は取材活動を妨げることにならないか」と指摘した。これに対し、調査委員会側は、「CT社の取材や法人としての運営を妨害する目的ではない」と回答した上で、「調査に及んだ結果、張関連団体という表現以外に適切な言葉が見当たらなかった」と説明した。

調査委員会側は、「どのように調査を行なってもこのような(健全ではない)結論しか出しようがない」という回答を繰り返した。また、CT社と関連団体は張在亨氏と「人脈的、間接的関係性は現在もある」と述べた。異端性、カルト性の有無については言及を避けたものの「張在亨氏を再臨主と教える教理が行なわれていた」ことについては今回の調査で確認に至ったことを明らかにした。その上で教団委員会側から「張在亨という人物は人伝に自分を再臨主と教えている。それは、恐ろしいことであり教会はそれには反対の意を示すことは当然だ」と述べた。調査委員会によれば、「CT社からも彼らが主張する資料を提出してもらい、十分に調査した。彼らも調査に対し誠実に対応してくれた。我々も責任をもって調査に臨んだ」とした。しかし、CT社が提出した膨大な資料を精査した結果「健全とは言えない」との結論に至ったことを明らかにした。

ある議員から「CTが救世軍の山谷真少佐を名誉棄損で訴えた際の裁判記録を読んだのか」との質問に調査委員会は「すべて読んだ」とし、一般的に流通している情報だけではなく独自に入手したものが相当あることを強調した。さらに今回の調査は弁護士に依頼して法的に、社会常識的に公開して問題がない内容でまとめたとした。またこの調査報告はCT社の法人としての活動を妨害する目的ではなく、「調査した以上、出た結果について“事実は事実”として示す必要がある」として理解を求めた。ある教団委員は「社会的責任のある宗教法人WH教団として、健全ではなく問題が確認された法人としてのCT社とは距離を置くしかない。それは致し方ないことであり、むしろ社会に対して良い誠意ある対応だ」と理解を求めた。この発言に賛成するという意見が多くあがったという。

以下はWH教団が公開したCT特別調査委員会による公式の報告書である。

WH教団が公表したCT特別調査委委員会による最終報告書(同教団提供)

本紙解説

今回の調査で明らかになった点を改めて整理してみる。調査委員会は、CT社が否定し続けてきた張在亨氏と宗教的、経営的な関係性については「深い関わりがある」とした。具体的には「人脈的、間接的関係」と説明した。CT社側もこの点を認めたという。また最大の争点だった張氏を再臨主と信仰する関連団体(信者たち)の就労実態については、複数の関係があった者たち(元信者たち)から再臨主信仰に関する教義を受けたとする供述を得られたとした。その供述は信ぴょう性があり、組織的な再臨主信仰教義について認めざるを得ないため、「疑惑を払拭できない」とした。これは異端性について教団が掘り下げて評価したことになる。教団委員会は異端性の有無には言及しなかったものの「教義は張在亨氏を再臨主と教えるものであって、それは教会として受け入れることはできない」と厳しい発言がなされた。

また、張関連団体に就労した元信者たちは、本人の意思とは関わりなくCT社、関連事業体での就労を指示されたとし、その上で信者が経費を負担する実態も確認されたとした。総合的な評価として、CT社を含む「張関連団体」はいびつな就労、勤務、給与の問題性の実態が明らかになったとし、CT社の財務状況については、違法ではないが、健全ではないとする経営実態を確認したことを明らかにした。これも人脈的、間接的な関係性から法人として不健全な経営実態が浮き彫りになったことを意味する。評価によってはカルト性を指摘することも可能な結論だ。

2008年にCT社が救世軍・山谷真氏に対して名誉棄損で訴訟を起こした「民事裁判」の判決について、委員会は客観的事実に基づく判決内容に触れ、名誉毀損についてCT側の主張が部分的に認められたという評価に留めた。CT社が繰り返し主張している「全面的勝訴」については否定し「部分的」という表現を使った。また同判決により、「異端性がない」と認定されたなどと主張するCT社の従来の立場についても異なる見解を示した。むしろ、この調査で再臨主信仰が組織的に行なわれていたいわゆる”異端性“について、明言は避けたものの「実際に教えがなされていた」事実が認められることを報告した。

また財務状況についてもCT社(矢田社長)は、「一切問題はない」と繰り返し主張し続け、元従業員(2018年2月末一切離職)が財政破綻などが原因で給与未払いなどの被害を同社に訴えた対応を批判していた。これに対し調査委員会は「健全とはいえない経営実態」を認め、CT社の主張と異なる見解を示して、「どう考えても不健全」と厳しい評価を加えた。

CT社の関係者は、2005年頃に張在亨氏が淀橋教会主管牧師の峯野龍弘牧師と面談したことを機に、張氏の求めに応じて教会信者(張氏は弟子と説明)を淀橋教会で預かるかたちで淀橋教会に転入したことが既に確認されている。同社の初代代表だった高柳泉氏(オリベットアッセンブリー教団所属=牧師)や一部の現職員らが面談の席に同席していたことも峯野氏は認めている。現社長の矢田氏(淀橋教会員、2019年5月役員退任)、内田周作氏はその経緯で淀橋教会員となり現在に至っている。今回の調査は自教団内の教会員に対する疑惑調査だったといえる。報告書によってCT社関連事業体の信者らが張在亨氏を再臨主とする教義を受けた点に言及したことにより、張氏の信者たちは単にクリスチャントゥデイというメディアへの協力を求め、淀橋教会と関係を持ったわけではない可能性が一層高まったことになる。真相究明が次のステージに進んだといえる。調査は継続する模様だ。

今回の総会で責任追及や新たな疑惑への言及は一切行なわなかったという。また、日本の教会は異端カルトを認定する公的機関がないことから「日本福音同盟(JEA)のCT社に対する姿勢のように結果を重く受け止めることが必要」と山崎忍氏(同教団浅草橋教会主任牧師・教団委員)が諸教会に対応を求めた。ただし、距離を置くという見解については「判断は諸教会に委ねている。まったく問題がないと考える人がいても教団として止めることはできない」と強制力はない点も強調した。

最終報告が公開されたことでCT問題を深刻に受け止める諸教団が一層、CT社と関連団体を警戒し、取り巻く環境に大きな変化が起きる可能性がある。立場を曖昧にしてきた牧師や団体にも強いインパクトを与えそうだ。一方でCT社はこれら疑惑について一部の人物らによって作り上げられた「ねつ造だ」という主張を紙面や歴代編集長(張関連団体)、代表(張関連団体牧師)らのブログを通じて発信し続けてきた。その批判もエスカレートし「黒幕」「魔女狩り」などと表現するようにもなった。2013年に判決が言い渡された名誉棄損裁判についても同社に有利な箇所のみを取り上げて公開してきた。あたかも被告(当時)の救世軍少佐・山谷氏が全敗し、信仰的、人物的に糾弾されるべきであるかのような印象操作も積極的に行なわれてきた。しかし、同社は一度も疑惑について諸教会に対し納得のいく誠意ある説明をしてこなかった。出された情報や客観的事実に基づく問題までもことごとく反対の立場で否定する印象のアピールに終始、経営破綻で元従業員が受けた経済的被害についても最後まで謝罪に応じることはなかった。常に個人名を紙面に取り上げ、その人物が疑惑ねつ造の根源だとする批判的姿勢は現在も崩していない。このような報道内容の真偽についても調査が及んだものと思われる。臨時総会で、実際にこのようなCT側の主張を評価する発言は淀橋教会を含めどこからも出なかったという。

日本ではこれまでに類をみない大きな事件だ。峯野氏がCT社会長を退任後、取締役は淀橋教会員のK氏(会社経営者)、萬代栄嗣氏(キリスト教会松山福音センター牧師)の2名が残留している。監査役は弁護士の佐々木満男氏だ。今回の「健全ではない」という調査結果を受け、張関連団体の信者ではない経営陣の動静にも注目が集まることは必至だ。

なお、WH教団は今回の見解について教団として取材には応じず、記者会見も行なわない方針を明らかにした。

2005年、当時のクリスチャントゥデイ代表らと共に淀橋教会を訪問した張在亨氏。この写真は張氏の公式サイトに現在も掲載されている。(張在亨WEBサイトより)

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この記事はウェスレアン・ホーリネス教団委員会が報道各社宛に提供したプレスリリースに基づいて本紙が独自に取材、確認した情報を交えたものです。内容は同教団のCT特別調査委員会の最終報告、同教団委員会見解を取上げています。