失踪直前、不可解な言動を繰り返す 家族が情報提供を求める

都内某大学に通う東京都八王子市子安町在住の佐々木一伸(ささき・かずのぶ)さん23歳が2月14日から行方不明になっている。大学やアルバイト先から「本人と連絡が取れない」と家族が連絡を受けたことにより発覚した。過激なキリスト教系宗教にのめりこんでいたことがわかり、今回の失踪はその影響を受けてのものと思われる。佐々木さんは14日に雲取山に入山したと思われ、そのまま行方不明となった。家族は八王子警察に一般行方不明者届を提出し、山岳救助隊に捜索を依頼した。本紙は家族から相談を受け、人命救助の観点から読者に情報提供をお願いすることにした。

家族の依頼を受け東京都山岳連盟救助隊が作成したチラシ

佐々木さんは岩手県出身の11月18日(1997年平成9年)生まれ23歳。身長は165㎝、やや細身で体重は55キロ、普段は黒縁のめがねかコンタクトレンズを装着している。髪型は短めを好むが現在は不明(失踪直前に美容室に行った記録あり)。声はやや低めとのこと。交友関係は広くない。

都内某大学に通いながら立川市内の飲食店、八王子市内の清掃会社などでアルバイトをしていた。性格は気持ちが優しくおとなしい子だと家族はいう。特定の宗教や思想に傾倒していたこともなかったという。「2019年から10回にわたって養子縁組を支援する団体に寄付を続けていた。思いやりがあり純粋な子です」と父親は語る。「コロナのせいで孤独な気持ちが強くなったのか」と心配する。

普段から家族とは連絡を取っていた。直前まで不審な様子はなかったという。失踪する前日も母親とメールをしていた。本人と連絡が取れなくなり、家族が佐々木さんの住むマンションを訪ねたが室内は荒らされたような様子もなく、ほとんどの私物はそのままの状態だった。風呂場や流しは長期間にわたり使用されていない様子だった。財布、通帳、大学のテキストはなくなっていた。パスポートや免許証は室内で見つかった。テーブルの上には宗教の講義内容と思われる印刷物と自筆のノート、メモ、新共同訳聖書が置かれていた。その内容を分析したところ佐々木さんが、2つの「教え」に強く影響を受け、宗教上のなんらかの理由で失踪に至った可能性が高いことがわかった。

女性預言者ヴァスーラ・リデンの教えに影響を受けた可能性

佐々木さんが2017年頃から影響を受けた宗教は、彼が残した自筆のノートや複数の教理ファイルの内容からエジプト出身の自称女性預言者ヴァスーラ・リデン氏が説く「神のうちの真のいのち」によるものだとわかった。ヴァスーラ氏は幼少時代にサタンにまつわる霊的体験をしてのち、13歳で幻を通じてイエス・キリストと結婚し、自称預言者として世界各地で講演を続けている。本人はギリシャ正教の信徒だと主張するがカトリック教会を含む大多数は彼女の活動に警戒感をあらわにしている。聖書の偽典を利用した過激な思想が特徴だ。特にサタンによる災いを強調し、ヴァスーラ氏の預言や説教を聞き、実行に移さないと悲劇的な結末を迎えると教えている。佐々木さんの聖書やノートには「イザベルの霊」と激しく批判するメモが数多く残されていた。また「サタン」「偶像崇拝者」と敵視する内容が目立つ。イザベルの霊とは、ヴァスーラ氏が特に強調する「人間に憑依する悪霊」のことで敵対し滅ぼすべき対象だと教えている。国内でもベス・ミリアムという団体名で活動しているが実態は不明な点が多い。佐々木さんはネットを通じてテキストを入手したと思われる。

家族が作成した情報提供を求めるチラシ

2019年以降は別の教えに影響

佐々木さんはヴァスーラ氏の教えで「キリスト教」、「聖書」に興味を持ったと思われる。彼は2018年後半にこの教えに対する関心が薄れ、2019年末頃に再び異なる「教え」から影響を受けたようだ。その教えは二元論の神学に基づくもので神とサタンの戦いを強調している。内容は過激で暴力的な思想も目立つ。この教えは第三者から聖書を読みながらメモを取ったとみられる。

聖書に書き込んだ自筆のメモには、韓国系異端によくみられる旧約時代から現在までを3つ時代にわける「終末論」の時代系図が書かれており、初臨のキリスト、再臨のキリストなどと記載していた。また再臨したキリストは「この世(サタン)と偶像礼拝をする者(イザベル)と戦っている」という内容も確認できた。一部は中国系のカルト集団がよく使うテキストと共通する点もみられた。佐々木さんはこの教えにより「山」を聖地と考えるようになり奥多摩方面の霊山をリストアップしていた。

佐々木さんは次の人物を頼りにしていると書いている。

モーセ エノク イザヤ パウロ ダビデ(本人記載のまま)

「自分には任務が与えられた(使命)①聖書を全部読む 必要な部分を徹底的にすり込む。②山に登ってそれを宣言する。それを唱える。(中略)俺が霊的にも肉体的にも一人の御使いが18万5千人を倒すようにそのように強力で美しい、なおかつ義だ。そんな存在になれるからだ。」

本人の自筆のメモから抜粋 一部表現を変えてあります。教理的特徴から関係する宗教の特定につながればと家族の同意を得て掲載しました

佐々木さんは自身の身長に劣等感を抱いていた。家族は「なにもそこまで思う必要はないのに」と嘆く。その結果、「霊的に死んでいると背が伸びない」とメモをしており、旧約聖書のアダムは身長が2メートルあったと書いていた。彼のマンションの部屋の壁には2メートルの位置に印がつけられていた。自分の背がここまで達したと思い込んだようだ。他にも言動に不審な点があり、バイト先で人間関係がうまくいかないなどメンタルの状態も悪化していった。インターネットでアプリを通じて不特定多数の人物と交流していたこともわかった。

山に強いこだわり 宗教的な理由で入山を計画

聖書の余白には「山」「湖」「洞窟」という言葉が多く書かれていた。特に「山」に強いこだわりを持ち、「聖書の言葉を読んで宣言するために」計画したものと思われる。2020年、緊急事態宣言発令中の4月14日には、奥多摩湖(東京都)を訪ねており、今年の2月14日には標高2,017.13メートルの雲取山に入山している。佐々木さんは山登りの経験はなかった。失踪後、スマートフォンの位置情報から雲取山の柳沢峠付近で電波をキャッチした。その後、電波は途絶えている。

無事な帰りを家族は待ちわびている。佐々木一伸さん本人の写真(家族提供)

東京都山岳救助隊による捜索は現在も続く

家族から依頼を受けた山岳救助隊(公益法人・東京都山岳連盟救助隊)は雲取山の周辺を捜索した。提供された資料によれば、14日、佐々木さんの特徴によく似た男性を3組の登山客が目撃していたことがわかった。軽装だったという。しかし、現在までに有力な手がかりなく発見には至っていない。入山したものの下山した可能性もある。さまざまな角度から可能性を探らなければならない状況になっている。行方不明になってから毎週、東京都山岳連盟救助隊が懸命に捜索活動を行なっている。

佐々木さんの家族は、八王子市内のホテルに長期宿泊しながら連日、情報収集に努めている。精神的な負担が大きく、得体の知れない宗教との関係や直前の不可解な言動に強いショックを受けている。「とにかく元気でいてほしい」と家族は呼びかける。宗教によっては学業放棄や集団生活を強いるケースも。「よく似た人を見た」、「ネット上で連絡を取ったことがある」など情報があればすぐにでも知らせてほしい。佐々木さんの無事を祈るばかりだ。

家族からのメッセージ

一伸へ 母さんが毎晩、安否を気遣って泣いているよ。元気でいるならどんな手段でもいいので連絡をください。

一伸について何らかの事情を知る方々へ

もし、私たちの息子がお世話になっているなら、せめて安否の情報だけでもいただけませんか?

異端・カルト110番編集部

私たちはご家族から一伸さんについて相談を受け、今日まで一緒に探し、情報を集めてきました。何かの宗教に入信したり、関わっているならそのことで自分を責める必要はありません。家族も周りの皆さんも批判したり、責めたりしません。佐々木さんが無事に元気でいてくれることを心から願っています。マンションの部屋も当時のままです。安心してください。これから先のことも家族が中心となって温かくフォローします。また、佐々木さんの無事がわかれば「情報提供」に関するネット上の記事をすぐに全て削除するので心配しないでください。

佐々木一伸さんについて下記まで情報提供をお願いします。

 

警視庁八王子警察署 https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/hachioji/index.html

042-621-0110(代表) または最寄りの警察署へ

佐々木さん(父)090-4553-6653  090-7321-4044(母)

注意)誹謗中傷やいたずら電話は絶対にやめてください。

 

日本失踪者捜索協力機構【MPSジャパン】https://www.mps-j.or.jp/

公益社団法人東京都山岳連盟救助隊 https://www.togakuren.com/info/2021/03/02/missing-2/

 

情報提供の内容は家族の同意を得ています。